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(本案の審理及び裁判)
第三百四十八條 裁判所は、再審開始の決定が確定した場合には、不服申立ての限度で、本案の審理及び裁判をする。
2 裁判所は、前項の場合において、判決を正當とするときは、再審の請求を棄卻しなければならない。
3 裁判所は、前項の場合を除き、判決を取り消した上、更に裁判をしなければならない。
(決定又は命令に対する再審)
第三百四十九條 即時抗告をもって不服を申し立てることができる決定又は命令で確定したものに対しては、再審の申立てをすることができる。
2 第三百三十八條から前條までの規定は、前項の申立てについて準用する。
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第五編 手形訴訟及び小切手訴訟に関する特則
(手形訴訟の要件)
第三百五十條 手形による金銭の支払の請求及びこれに附帯する法定利率による損害賠償の請求を目的とする訴えについては、手形訴訟による審理及び裁判を求めることができる。
2 手形訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴狀に記載してしなければならない。
(反訴の禁止)
第三百五十一條 手形訴訟においては、反訴を提起することができない。
(証拠調べの制限)
第三百五十二條 手形訴訟においては、証拠調べは、書証に限りすることができる。
2 文書の提出の命令又は送付の囑託は、することができない。対照の用に供すべき筆跡又は印影を備える物件の提出の命令又は送付の囑託についても、同様とする。
3 文書の成立の真否又は手形の提示に関する事実については、申立てにより、當事者本人を尋問することができる。
4 証拠調べの囑託は、することができない。第百八十六條の規定による調査の囑託についても、同様とする。
5 前各項の規定は、裁判所が職権で調査すべき事項には、適用しない。
(通常の手続への移行)
第三百五十三條 原告は、口頭弁論の終結に至るまで、被告の承諾を要しないで、訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述をすることができる。
2 訴訟は、前項の申述があった時に、通常の手続に移行する。
3 前項の場合には、裁判所は、直ちに、訴訟が通常の手続に移行した旨を記載した書面を被告に送付しなければならない。ただし、第一項の申述が被告の出頭した期日において口頭でされたものであるときは、その送付をすることを要しない。
4 第二項の場合には、手形訴訟のため既に指定した期日は、通常の手続のために指定したものとみなす。
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(口頭弁論の終結)
第三百五十四條 裁判所は、被告が口頭弁論において原告が主張した事実を爭わず、その他何らの防禦の方法をも提出しない場合には、前條第三項の規定による書面の送付前であっても、口頭弁論を終結することができる。
(口頭弁論を経ない訴えの卻下)
第三百五十五條 請求の全部又は一部が手形訴訟による審理及び裁判をすることができないものであるときは、裁判所は、口頭弁論を経ないで、判決で、訴えの全部又は一部を卻下することができる。
2 前項の場合において、原告が判決書の送達を受けた日から二週間以內に同項の請求について通常の手続により訴えを提起したときは、第百四十七條の規定の適用については、その訴えの提起は、前の訴えの提起の時にしたものとみなす。
(控訴の禁止)
第三百五十六條 手形訴訟の終局判決に対しては、控訴をすることができない。ただし、前條第一項の判決を除き、訴えを卻下した判決に対しては、この限りでない。
(異議の申立て)
第三百五十七條 手形訴訟の終局判決に対しては、訴えを卻下した判決を除き、判決書又は第二百五十四條第二項の調書の送達を受けた日から二週間の不変期間內に、その判決をした裁判所に異議を申し立てることができる。ただし、その期間前に申し立てた異議の効力を妨げない。
(異議申立権の放棄)
第三百五十八條 異議を申し立てる権利は、その申立て前に限り、放棄することができる。
(口頭弁論を経ない異議の卻下)
第三百五十九條 異議が不適法でその不備を補正することができないときは、裁判所は、口頭弁論を経ないで、判決で、異議を卻下することができる。
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(異議の取下げ)
第三百六十條 異議は、通常の手続による第一審の終局判決があるまで、取り下げることができる。
2 異議の取下げは、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。
3 第二百六十一條第三項から第五項まで、第二百六十二條第一項及び第二百六十三條の規定は、異議の取下げについて準用する。
(異議後の手続)
第三百六十一條 適法な異議があったときは、訴訟は、口頭弁論の終結前の程度に復する。この場合においては、通常の手続によりその審理及び裁判をする。
(異議後の判決)
第三百六十二條 前條の規定によってすべき判決が手形訴訟の判決と符合するときは、裁判所は、手形訴訟の判決を認可しなければならない。ただし、手形訴訟の判決の手続が法律に違反したものであるときは、この限りでない。
2 前項の規定により手形訴訟の判決を認可する場合を除き、前條の規定によってすべき判決においては、手形訴訟の判決を取り消さなければならない。
(異議後の判決における訴訟費用)
第三百六十三條 異議を卻下し、又は手形訴訟においてした訴訟費用の負擔の裁判を認可する場合には、裁判所は、異議の申立てがあった後の訴訟費用の負擔について裁判をしなければならない。
2 第二百五十八條第四項の規定は、手形訴訟の判決に対し適法な異議の申立てがあった場合について準用する。
(事件の差戻し)
第三百六十四條 控訴裁判所は、異議を不適法として卻下した第一審判決を取り消す場合には、事件を第一審裁判所に差し戻さなければならない。ただし、事件につき更に弁論をする必要がないときは、この限りでない。
(訴え提起前の和解の手続から手形訴訟への移行)
第三百六十五條 第二百七十五條第二項後段の規定により提起があったものとみなされる訴えについては、手形訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、同項前段の申立ての際にしなければならない。
(督促手続から手形訴訟への移行)
第三百六十六條 第三百九十五條又は第三百九十八條第一項(第四百二條第二項において準用する場合を含む。)の規定により提起があったものとみなされる訴えについては、手形訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、支払督促の申立ての際にしなければならない。
2 第三百九十一條第一項の規定による仮執行の宣言があったときは、前項の申述は、なかったものとみなす。
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(小切手訴訟)
第三百六十七條 小切手による金銭の支払の請求及びこれに附帯する法定利率による損害賠償の請求を目的とする訴えについては、小切手訴訟による審理及び裁判を求めることができる。
2 第三百五十條第二項及び第三百五十一條から前條までの規定は、小切手訴訟に関して準用する。
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第六編 少額訴訟に関する特則
(少額訴訟の要件等)
第三百六十八條 簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が六十萬円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。ただし、同一の簡易裁判所において同一の年に最高裁判所規則で定める回數を超えてこれを求めることができない。
2 少額訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴えの提起の際にしなければならない。
3 前項の申述をするには、當該訴えを提起する簡易裁判所においてその年に少額訴訟による審理及び裁判を求めた回數を屆け出なければならない。
(反訴の禁止)
第三百六十九條 少額訴訟においては、反訴を提起することができない。
(一期日審理の原則)
第三百七十條 少額訴訟においては、特別の事情がある場合を除き、最初にすべき口頭弁論の期日において、審理を完了しなければならない。
2 當事者は、前項の期日前又はその期日において、すべての攻撃又は防禦の方法を提出しなければならない。ただし、口頭弁論が続行されたときは、この限りでない。
(証拠調べの制限)
第三百七十一條 証拠調べは、即時に取り調べることができる証拠に限りすることができる。
(証人等の尋問)
第三百七十二條 証人の尋問は、宣誓をさせないですることができる。
2 証人又は當事者本人の尋問は、裁判官が相當と認める順序でする。
3 裁判所は、相當と認めるときは、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び當事者雙方と証人とが音聲の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、証人を尋問することができる。
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(通常の手続への移行)
第三百七十三條 被告は、訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述をすることができる。ただし、被告が最初にすべき口頭弁論の期日において弁論をし、又はその期日が終了した後は、この限りでない。
2 訴訟は、前項の申述があった時に、通常の手続に移行する。
3 次に掲げる場合には、裁判所は、訴訟を通常の手続により審理及び裁判をする旨の決定をしなければならない。
一 第三百六十八條第一項の規定に違反して少額訴訟による審理及び裁判を求めたとき。
二 第三百六十八條第三項の規定によってすべき屆出を相當の期間を定めて命じた場合において、その屆出がないとき。
三 公示送達によらなければ被告に対する最初にすべき口頭弁論の期日の呼出しをすることができないとき。
四 少額訴訟により審理及び裁判をするのを相當でないと認めるとき。
4 前項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。
5 訴訟が通常の手続に移行したときは、少額訴訟のため既に指定した期日は、通常の手続のために指定したものとみなす。
(判決の言渡し)
第三百七十四條 判決の言渡しは、相當でないと認める場合を除き、口頭弁論の終結後直ちにする。
2 前項の場合には、判決の言渡しは、判決書の原本に基づかないですることができる。この場合においては、第二百五十四條第二項及び第二百五十五條の規定を準用する。
(判決による支払の猶予)
第三百七十五條 裁判所は、請求を認容する判決をする場合において、被告の資力その他の事情を考慮して特に必要があると認めるときは、判決の言渡しの日から三年を超えない範囲內において、認容する請求に係る金銭の支払について、その時期の定め若しくは分割払の定めをし、又はこれと併せて、その時期の定めに従い支払をしたとき、若しくはその分割払の定めによる期限の利益を次項の規定による定めにより失うことなく支払をしたときは訴え提起後の遅延損害金の支払義務を免除する旨の定めをすることができる。
2 前項の分割払の定めをするときは、被告が支払を怠った場合における期限の利益の喪失についての定めをしなければならない。
3 前二項の規定による定めに関する裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
(仮執行の宣言)
第三百七十六條 請求を認容する判決については、裁判所は、職権で、擔保を立てて、又は立てないで仮執行をすることができることを宣言しなければならない。
2 第七十六條、第七十七條、第七十九條及び第八十條の規定は、前項の擔保について準用する。
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(控訴の禁止)
第三百七十七條 少額訴訟の終局判決に対しては、控訴をすることができない。
(異議)
第三百七十八條 少額訴訟の終局判決に対しては、判決書又は第二百五十四條第二項(第三百七十四條第二項において準用する場合を含む。)の調書の送達を受けた日から二週間の不変期間內に、その判決をした裁判所に異議を申し立てることができる。ただし、その期間前に申し立てた異議の効力を妨げない。
2 第三百五十八條から第三百六十條までの規定は、前項の異議について準用する。
(異議後の審理及び裁判)
第三百七十九條 適法な異議があったときは、訴訟は、口頭弁論の終結前の程度に復する。この場合においては、通常の手続によりその審理及び裁判をする。
2 第三百六十二條、第三百六十三條、第三百六十九條、第三百七十二條第二項及び第三百七十五條の規定は、前項の審理及び裁判について準用する。
(異議後の判決に対する不服申立て)
第三百八十條 第三百七十八條第二項において準用する第三百五十九條又は前條第一項の規定によってした終局判決に対しては、控訴をすることができない。
2 第三百二十七條の規定は、前項の終局判決について準用する。
(過料)
第三百八十一條 少額訴訟による審理及び裁判を求めた者が第三百六十八條第三項の回數について虛偽の屆出をしたときは、裁判所は、決定で、十萬円以下の過料に処する。
2 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
3 第百八十九條の規定は、第一項の規定による過料の裁判について準用する。
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第七編 督促手続
第一章 総則
(支払督促の要件)
第三百八十二條 金銭その他の代替物又は有価証券の一定の數量の給付を目的とする請求については、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促を発することができる。ただし、日本において公示送達によらないでこれを送達することができる場合に限る。
(支払督促の申立て)
第三百八十三條 支払督促の申立ては、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対してする。
2 次の各號に掲げる請求についての支払督促の申立ては、それぞれ當該各號に定める地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対してもすることができる。
一 事務所又は営業所を有する者に対する請求でその事務所又は営業所における業務に関するもの 當該事務所又は営業所の所在地
二 手形又は小切手による金銭の支払の請求及びこれに附帯する請求 手形又は小切手の支払地
(訴えに関する規定の準用)
第三百八十四條 支払督促の申立てには、その性質に反しない限り、訴えに関する規定を準用する。
(申立ての卻下)
第三百八十五條 支払督促の申立てが第三百八十二條若しくは第三百八十三條の規定に違反するとき、又は申立ての趣旨から請求に理由がないことが明らかなときは、その申立てを卻下しなければならない。請求の一部につき支払督促を発することができない場合におけるその一部についても、同様とする。
2 前項の規定による処分は、相當と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。
3 前項の処分に対する異議の申立ては、その告知を受けた日から一週間の不変期間內にしなければならない。
4 前項の異議の申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
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(支払督促の発付等)
第三百八十六條 支払督促は、債務者を審尋しないで発する。
2 債務者は、支払督促に対し、これを発した裁判所書記官の所屬する簡易裁判所に督促異議の申立てをすることができる。
(支払督促の記載事項)
第三百八十七條 支払督促には、次に掲げる事項を記載し、かつ、債務者が支払督促の送達を受けた日から二週間以內に督促異議の申立てをしないときは債権者の申立てにより仮執行の宣言をする旨を付記しなければならない。
一 第三百八十二條の給付を命ずる旨
二 請求の趣旨及び原因
三 當事者及び法定代理人
(支払督促の送達)
第三百八十八條 支払督促は、債務者に送達しなければならない。
2 支払督促の効力は、債務者に送達された時に生ずる。
3 債権者が申し出た場所に債務者の住所、居所、営業所若しくは事務所又は就業場所がないため、支払督促を送達することができないときは、裁判所書記官は、その旨を債権者に通知しなければならない。この場合において、債権者が通知を受けた日から二月の不変期間內にその申出に係る場所以外の送達をすべき場所の申出をしないときは、支払督促の申立てを取り下げたものとみなす。
(支払督促の更正)
第三百八十九條 第七十四條第一項及び第二項の規定は、支払督促について準用する。
2 仮執行の宣言後に適法な督促異議の申立てがあったときは、前項において準用する第七十四條第一項の規定による更正の処分に対する異議の申立ては、することができない。
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