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(口頭弁論の範囲等)
第二百九十六条 口頭弁論は、当事者が第一審判決の変更を求める限度においてのみ、これをする。
2 当事者は、第一審における口頭弁論の結果を陳述しなければならない。
(第一審の訴訟手続の規定の準用)
第二百九十七条 前編第一章から第七章までの規定は、特別の定めがある場合を除き、控訴審の訴訟手続について準用する。ただし、第二百六十九条の規定は、この限りでない。
(第一審の訴訟行為の効力等)
第二百九十八条 第一審においてした訴訟行為は、控訴審においてもその効力を有する。
2 第百六十七条の規定は、第一審において準備的口頭弁論を終了し、又は弁論準備手続を終結した事件につき控訴審で攻撃又は防御の方法を提出した当事者について、第百七十八条の規定は、第一審において書面による準備手続を終結した事件につき同条の陳述又は確認がされた場合において控訴審で攻撃又は防御の方法を提出した当事者について準用する。
(第一審の管轄違いの主張の制限)
第二百九十九条 控訴審においては、当事者は、第一審裁判所が管轄権を有しないことを主張することができない。ただし、専属管轄(当事者が第十一条の規定により合意で定めたものを除く。)については、この限りでない。
2 前項の第一審裁判所が第六条第一項各号に定める裁判所である場合において、当該訴訟が同項の規定により他の裁判所の専属管轄に属するときは、前項ただし書の規定は、適用しない。
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(反訴の提起等)
第三百条 控訴審においては、反訴の提起は、相手方の同意がある場合に限り、することができる。
2 相手方が異議を述べないで反訴の本案について弁論をしたときは、反訴の提起に同意したものとみなす。
3 前二項の規定は、選定者に係る請求の追加について準用する。
(攻撃防御方法の提出等の期間)
第三百一条 裁判長は、当事者の意見を聴いて、攻撃若しくは防御の方法の提出、請求若しくは請求の原因の変更、反訴の提起又は選定者に係る請求の追加をすべき期間を定めることができる。
2 前項の規定により定められた期間の経過後に同項に規定する訴訟行為をする当事者は、裁判所に対し、その期間内にこれをすることができなかった理由を説明しなければならない。
(控訴棄却)
第三百二条 控訴裁判所は、第一審判決を相当とするときは、控訴を棄却しなければならない。
2 第一審判決がその理由によれば不当である場合においても、他の理由により正当であるときは、控訴を棄却しなければならない。
(控訴権の濫用に対する制裁)
第三百三条 控訴裁判所は、前条第一項の規定により控訴を棄却する場合において、控訴人が訴訟の完結を遅延させることのみを目的として控訴を提起したものと認めるときは、控訴人に対し、控訴の提起の手数料として納付すべき金額の十倍以下の金銭の納付を命ずることができる。
2 前項の規定による裁判は、判決の主文に掲げなければならない。
3 第一項の規定による裁判は、本案判決を変更する判決の言渡しにより、その効力を失う。
4 上告裁判所は、上告を棄却する場合においても、第一項の規定による裁判を変更することができる。
5 第百八十九条の規定は、第一項の規定による裁判について準用する。
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(第一審判決の取消し及び変更の範囲)
第三百四条 第一審判決の取消し及び変更は、不服申立ての限度においてのみ、これをすることができる。
(第一審判決が不当な場合の取消し)
第三百五条 控訴裁判所は、第一審判決を不当とするときは、これを取り消さなければならない。
(第一審の判決の手続が違法な場合の取消し)
第三百六条 第一審の判決の手続が法律に違反したときは、控訴裁判所は、第一審判決を取り消さなければならない。
(事件の差戻し)
第三百七条 控訴裁判所は、訴えを不適法として却下した第一審判決を取り消す場合には、事件を第一審裁判所に差し戻さなければならない。ただし、事件につき更に弁論をする必要がないときは、この限りでない。
第三百八条 前条本文に規定する場合のほか、控訴裁判所が第一審判決を取り消す場合において、事件につき更に弁論をする必要があるときは、これを第一審裁判所に差し戻すことができる。
2 第一審裁判所における訴訟手続が法律に違反したことを理由として事件を差し戻したときは、その訴訟手続は、これによって取り消されたものとみなす。
(第一審の管轄違いを理由とする移送)
第三百九条 控訴裁判所は、事件が管轄違いであることを理由として第一審判決を取り消すときは、判決で、事件を管轄裁判所に移送しなければならない。
(控訴審の判決における仮執行の宣言)
第三百十条 控訴裁判所は、金銭の支払の請求(第二百五十九条第二項の請求を除く。)に関する判決については、申立てがあるときは、不必要と認める場合を除き、担保を立てないで仮執行をすることができることを宣言しなければならない。ただし、控訴裁判所が相当と認めるときは、仮執行を担保を立てることに係らしめることができる。
(特許権等に関する訴えに係る控訴事件における合議体の構成)
第三百十条の二 第六条第一項各号に定める裁判所が第一審としてした特許権等に関する訴えについての終局判決に対する控訴が提起された東京高等裁判所においては、当該控訴に係る事件について、五人の裁判官の合議体で審理及び裁判をする旨の決定をその合議体ですることができる。ただし、第二十条の二第一項の規定により移送された訴訟に係る訴えについての終局判決に対する控訴に係る事件については、この限りでない。
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第二章 上告
(上告裁判所)
第三百十一条 上告は、高等裁判所が第二審又は第一審としてした終局判決に対しては最高裁判所に、地方裁判所が第二審としてした終局判決に対しては高等裁判所にすることができる。
2 第二百八十一条第一項ただし書の場合には、地方裁判所の判決に対しては最高裁判所に、簡易裁判所の判決に対しては高等裁判所に、直ちに上告をすることができる。
(上告の理由)
第三百十二条 上告は、判決に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、することができる。
2 上告は、次に掲げる事由があることを理由とするときも、することができる。ただし、第四号に掲げる事由については、第三十四条第二項(第五十九条において準用する場合を含む。)の規定による追認があったときは、この限りでない。
一 法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。
二 法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと。
二の二 日本の裁判所の管轄権の専属に関する規定に違反したこと。
三 専属管轄に関する規定に違反したこと(第六条第一項各号に定める裁判所が第一審の終局判決をした場合において当該訴訟が同項の規定により他の裁判所の専属管轄に属するときを除く。)。
四 法定代理権、訴訟代理権又は代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたこと。
五 口頭弁論の公開の規定に違反したこと。
六 判決に理由を付せず、又は理由に食違いがあること。
3 高等裁判所にする上告は、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があることを理由とするときも、することができる。
(控訴の規定の準用)
第三百十三条 前章の規定は、特別の定めがある場合を除き、上告及び上告審の訴訟手続について準用する。
(上告提起の方式等)
第三百十四条 上告の提起は、上告状を原裁判所に提出してしなければならない。
2 前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項の規定による裁判長の職権は、原裁判所の裁判長が行う。
(上告の理由の記載)
第三百十五条 上告状に上告の理由の記載がないときは、上告人は、最高裁判所規則で定める期間内に、上告理由書を原裁判所に提出しなければならない。
2 上告の理由は、最高裁判所規則で定める方式により記載しなければならない。
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(原裁判所による上告の却下)
第三百十六条 次の各号に該当することが明らかであるときは、原裁判所は、決定で、上告を却下しなければならない。
一 上告が不適法でその不備を補正することができないとき。
二 前条第一項の規定に違反して上告理由書を提出せず、又は上告の理由の記載が同条第二項の規定に違反しているとき。
2 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
(上告裁判所による上告の却下等)
第三百十七条 前条第一項各号に掲げる場合には、上告裁判所は、決定で、上告を却下することができる。
2 上告裁判所である最高裁判所は、上告の理由が明らかに第三百十二条第一項及び第二項に規定する事由に該当しない場合には、決定で、上告を棄却することができる。
(上告受理の申立て)
第三百十八条 上告をすべき裁判所が最高裁判所である場合には、最高裁判所は、原判決に最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは控訴裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある事件その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件について、申立てにより、決定で、上告審として事件を受理することができる。
2 前項の申立て(以下「上告受理の申立て」という。)においては、第三百十二条第一項及び第二項に規定する事由を理由とすることができない。
3 第一項の場合において、最高裁判所は、上告受理の申立ての理由中に重要でないと認めるものがあるときは、これを排除することができる。
4 第一項の決定があった場合には、上告があったものとみなす。この場合においては、第三百二十条の規定の適用については、上告受理の申立ての理由中前項の規定により排除されたもの以外のものを上告の理由とみなす。
5 第三百十三条から第三百十五条まで及び第三百十六条第一項の規定は、上告受理の申立てについて準用する。
(口頭弁論を経ない上告の棄却)
第三百十九条 上告裁判所は、上告状、上告理由書、答弁書その他の書類により、上告を理由がないと認めるときは、口頭弁論を経ないで、判決で、上告を棄却することができる。
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(調査の範囲)
第三百二十条 上告裁判所は、上告の理由に基づき、不服の申立てがあった限度においてのみ調査をする。
(原判決の確定した事実の拘束)
第三百二十一条 原判決において適法に確定した事実は、上告裁判所を拘束する。
2 第三百十一条第二項の規定による上告があった場合には、上告裁判所は、原判決における事実の確定が法律に違反したことを理由として、その判決を破棄することができない。
(職権調査事項についての適用除外)
第三百二十二条 前二条の規定は、裁判所が職権で調査すべき事項には、適用しない。
(仮執行の宣言)
第三百二十三条 上告裁判所は、原判決について不服の申立てがない部分に限り、申立てにより、決定で、仮執行の宣言をすることができる。
(最高裁判所への移送)
第三百二十四条 上告裁判所である高等裁判所は、最高裁判所規則で定める事由があるときは、決定で、事件を最高裁判所に移送しなければならない。
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(破棄差戻し等)
第三百二十五条 第三百十二条第一項又は第二項に規定する事由があるときは、上告裁判所は、原判決を破棄し、次条の場合を除き、事件を原裁判所に差し戻し、又はこれと同等の他の裁判所に移送しなければならない。高等裁判所が上告裁判所である場合において、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときも、同様とする。
2 上告裁判所である最高裁判所は、第三百十二条第一項又は第二項に規定する事由がない場合であっても、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原判決を破棄し、次条の場合を除き、事件を原裁判所に差し戻し、又はこれと同等の他の裁判所に移送することができる。
3 前二項の規定により差戻し又は移送を受けた裁判所は、新たな口頭弁論に基づき裁判をしなければならない。この場合において、上告裁判所が破棄の理由とした事実上及び法律上の判断は、差戻し又は移送を受けた裁判所を拘束する。
4 原判決に関与した裁判官は、前項の裁判に関与することができない。
(破棄自判)
第三百二十六条 次に掲げる場合には、上告裁判所は、事件について裁判をしなければならない。
一 確定した事実について憲法その他の法令の適用を誤ったことを理由として判決を破棄する場合において、事件がその事実に基づき裁判をするのに熟するとき。
二 事件が裁判所の権限に属しないことを理由として判決を破棄するとき。
(特別上告)
第三百二十七条 高等裁判所が上告審としてした終局判決に対しては、その判決に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに限り、最高裁判所に更に上告をすることができる。
2 前項の上告及びその上告審の訴訟手続には、その性質に反しない限り、第二審又は第一審の終局判決に対する上告及びその上告審の訴訟手続に関する規定を準用する。この場合において、第三百二十一条第一項中「原判決」とあるのは、「地方裁判所が第二審としてした終局判決(第三百十一条第二項の規定による上告があった場合にあっては、簡易裁判所の終局判決)」と読み替えるものとする。
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第三章 抗告
(抗告をすることができる裁判)
第三百二十八条 口頭弁論を経ないで訴訟手続に関する申立てを却下した決定又は命令に対しては、抗告をすることができる。
2 決定又は命令により裁判をすることができない事項について決定又は命令がされたときは、これに対して抗告をすることができる。
(受命裁判官等の裁判に対する不服申立て)
第三百二十九条 受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、受訴裁判所に異議の申立てをすることができる。ただし、その裁判が受訴裁判所の裁判であるとした場合に抗告をすることができるものであるときに限る。
2 抗告は、前項の申立てについての裁判に対してすることができる。
3 最高裁判所又は高等裁判所が受訴裁判所である場合における第一項の規定の適用については、同項ただし書中「受訴裁判所」とあるのは、「地方裁判所」とする。
(再抗告)
第三百三十条 抗告裁判所の決定に対しては、その決定に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があること、又は決定に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があることを理由とするときに限り、更に抗告をすることができる。
(控訴又は上告の規定の準用)
第三百三十一条 抗告及び抗告裁判所の訴訟手続には、その性質に反しない限り、第一章の規定を準用する。ただし、前条の抗告及びこれに関する訴訟手続には、前章の規定中第二審又は第一審の終局判決に対する上告及びその上告審の訴訟手続に関する規定を準用する。
(即時抗告期間)
第三百三十二条 即時抗告は、裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
(原裁判所等による更正)
第三百三十三条 原裁判をした裁判所又は裁判長は、抗告を理由があると認めるときは、その裁判を更正しなければならない。
(原裁判の執行停止)
第三百三十四条 抗告は、即時抗告に限り、執行停止の効力を有する。
2 抗告裁判所又は原裁判をした裁判所若しくは裁判官は、抗告について決定があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。
(口頭弁論に代わる審尋)
第三百三十五条 抗告裁判所は、抗告について口頭弁論をしない場合には、抗告人その他の利害関係人を審尋することができる。
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第四編 再審
(再審の事由)
第三百三十八条 次に掲げる事由がある場合には、確定した終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服を申し立てることができる。ただし、当事者が控訴若しくは上告によりその事由を主張したとき、又はこれを知りながら主張しなかったときは、この限りでない。
一 法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。
二 法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと。
三 法定代理権、訴訟代理権又は代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたこと。
四 判決に関与した裁判官が事件について職務に関する罪を犯したこと。
五 刑事上罰すべき他人の行為により、自白をするに至ったこと又は判決に影響を及ぼすべき攻撃若しくは防御の方法を提出することを妨げられたこと。
六 判決の証拠となった文書その他の物件が偽造又は変造されたものであったこと。
七 証人、鑑定人、通訳人又は宣誓した当事者若しくは法定代理人の虚偽の陳述が判決の証拠となったこと。
八 判決の基礎となった民事若しくは刑事の判決その他の裁判又は行政処分が後の裁判又は行政処分により変更されたこと。
九 判決に影響を及ぼすべき重要な事項について判断の遺脱があったこと。
十 不服の申立てに係る判決が前に確定した判決と抵触すること。
2 前項第四号から第七号までに掲げる事由がある場合においては、罰すべき行為について、有罪の判決若しくは過料の裁判が確定したとき、又は証拠がないという理由以外の理由により有罪の確定判決若しくは過料の確定裁判を得ることができないときに限り、再審の訴えを提起することができる。
3 控訴審において事件につき本案判決をしたときは、第一審の判決に対し再審の訴えを提起することができない。
第三百三十九条 判決の基本となる裁判について前条第一項に規定する事由がある場合(同項第四号から第七号までに掲げる事由がある場合にあっては、同条第二項に規定する場合に限る。)には、その裁判に対し独立した不服申立ての方法を定めているときにおいても、その事由を判決に対する再審の理由とすることができる。
(管轄裁判所)
第三百四十条 再審の訴えは、不服の申立てに係る判決をした裁判所の管轄に専属する。
2 審級を異にする裁判所が同一の事件についてした判決に対する再審の訴えは、上級の裁判所が併せて管轄する。
(再審の訴訟手続)
第三百四十一条 再審の訴訟手続には、その性質に反しない限り、各審級における訴訟手続に関する規定を準用する。
(再審期間)
第三百四十二条 再審の訴えは、当事者が判決の確定した後再審の事由を知った日から三十日の不変期間内に提起しなければならない。
2 判決が確定した日(再審の事由が判決の確定した後に生じた場合にあっては、その事由が発生した日)から五年を経過したときは、再審の訴えを提起することができない。
3 前二項の規定は、第三百三十八条第一項第三号に掲げる事由のうち代理権を欠いたこと及び同項第十号に掲げる事由を理由とする再審の訴えには、適用しない。
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(再審の訴状の記載事項)
第三百四十三条 再審の訴状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 当事者及び法定代理人
二 不服の申立てに係る判決の表示及びその判決に対して再審を求める旨
三 不服の理由
(不服の理由の変更)
第三百四十四条 再審の訴えを提起した当事者は、不服の理由を変更することができる。
(再審の訴えの却下等)
第三百四十五条 裁判所は、再審の訴えが不適法である場合には、決定で、これを却下しなければならない。
2 裁判所は、再審の事由がない場合には、決定で、再審の請求を棄却しなければならない。
3 前項の決定が確定したときは、同一の事由を不服の理由として、更に再審の訴えを提起することができない。
(再審開始の決定)
第三百四十六条 裁判所は、再審の事由がある場合には、再審開始の決定をしなければならない。
2 裁判所は、前項の決定をする場合には、相手方を審尋しなければならない。
(即時抗告)
第三百四十七条 第三百四十五条第一項及び第二項並びに前条第一項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
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